著作権法違反とスピード違反 〜今後の著作権のあり方〜

Winny開発者、逆転無罪 二審・大阪高裁」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0910/08/news031.html

P2Pファイル共有ソフトWinny」を開発・公開して著作権法違反の幇助(ほうじょ)罪に問われた元東京大学助手、金子勇被告の控訴審判決公判が10月8日あり、大阪高裁(小倉正三裁判長)は、罰金刑とした一審判決を破棄、無罪を言い渡した。


Winny裁判の記事でよくみかけるコメントとして「このWinny開発が有罪ならナイフや包丁を作った人も殺人幇助で有罪だ」という意見が多数見受けられますが、それはちょっと違うと思うんですね。今回の裁判のポイント、なぜ警察側が逮捕に踏み切ったのか、検察側が有罪を主張しているかというと、金子被告の思想が危険だと判断したからです。
それは被告から発せられた、こんな言葉から来ています。

著作権を侵害する行為を蔓延させて、著作権を変えるのが目的だった」


Winny作者逮捕から日本のプログラマについて考える」より抜粋
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20040517/144242/



ナイフや包丁を作っている人が、人殺しとしての目的のためだけにその道具を作っていれば同様のケースが当てはめられるかも知れませんが、実際はそんなことはないでしょう。


ただ、自動車の最高時速は同等のケースとして扱われてもおかしくないと個人的には思っています。と言うのも、日本国内の高速道路を含めた一般道では、速度制限は100km/hで、それ以上出せないにも関わらず、ほとんどの車がそれを大幅に超えるスピードを出せる性能を持っています。開発者側からすると、時速100km/hを超える性能を搭載させることはスピード違反だと分かっているにも関わらず、それを大幅に超えるスピードが可能だということは、スピード違反の幇助で罪に問われても仕方がないように思います。


「<トヨタ>最高速325キロ! レクサスのスーパースポーツ「LFA」世界初公開」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091021-00000010-maiall-bus_all

カーボン素材を採用して軽量化を図り、最高速度は325キロに達する。時速100キロまで3.7秒の加速を誇り、同社は「感動と官能を極限まで追求した」と意気込んでいる。


この325km/hという速度を日本国内のどの道で出せと言っているのか、不思議でなりません。


ということで、金子被告が本当に著作権法違反の幇助罪に問われるのであれば、自動車の開発者や販売会社側もスピード違反の幇助罪に問われてもおかしくないのではないでしょうか?



ちなみに僕の著作権に関する考え方なのですが、金子被告の思想に激しく賛同致します。(ということは、もし金子被告が有罪になれば、僕も有罪?思想が危険という理由で?)


Winny裁判の控訴審が判決へ」
http://gensizin2.seesaa.net/article/129261013.html

実際、金子氏は2ちゃんねる上で次のように書き込みしている。
「個人的な意見ですけど、P2P技術が出てきたことで著作権などの従来の概念が既に崩れはじめている時代に突入しているのだと思います。
お上の圧力で規制するというのも一つの手ですが、技術的に可能であれば、誰かがこの壁に穴あけてしまって後ろに戻れなくなるはず。最終的には崩れるだけで、将来的には今とは別の著作権の概念が必要になると思います。どうせ戻れないのなら押してしまってもいいかっなって所もありますね」


今の著作権法では、著作権保有者の権益を不用意に守りすぎるあまり、ビジネスの発展を著しく止めてしまっている節が否めないように感じます。また、それと同時に違法コピーはもう簡単には止められないところまできています。インターネットがここまで普及した時代において、今までインターネットがなかった時代の著作権法ではカバーしきれません。それであれば一層のこと丸ごとゴソッと変えてしまうべきです。遅かれ早かれ、そうなるのですから。ただ、ではどのようにすべきか、コピーをされてもオリジナルを作った方に利益が落ちる仕組みを真剣に考えるべきですよね。


だいぶ前のエントリーですが渡辺千賀さんのブログより、Princeは既に音楽ソフトを売るよりはライブで稼いでいるとのこと。


著作権保護よりライブで稼ぐ、というビジネスモデル」
http://www.chikawatanabe.com/blog/2007/08/post-3.html

「Princeはライブの稼ぎがメイン。印税収入はたいして重要ではない。CDは、ライブをプロモートするための広告ツールであり、別に違法コピーがどれほど出回ってもOK。むしろ、沢山出回って知名度が上がり、ライブに人が沢山来てもらったほうがよい。しかも、CDに頼らなければレコードレーベルに利益を搾り取られることもない」


ということで、今後まだまだWinny裁判、及び、著作権問題から目が離せなさそうです。