ベトナム生活での最も心に残った言葉(僕が政経に興味を持ったきっかけ)

ベトナムというと、まず何を思い浮かべますか?


フォーとか生春巻きとかホーチミンおじさんとか色々ありますけど、僕が初めてベトナムへ行く前に頭に思い浮かんだことは「ベトナム戦争」と「社会主義国」でした。

ベトナム戦争というと、世間一般ではアメリカが戦後唯一(世論に押されて)撤退した戦いであり、当時はアメリカ軍がヒール(悪役)であったという印象が強いと思います。

僕が行く前は、恥ずかしながら、ほんとこれぐらいの知識しか持ち合わせていませんでした。


そんな極僅か知識のもと、ベトナムホーチミンに初めて降り立ったときの印象としては「貧しい国だけど人々に活気があるなぁ。そしてバイクが多すぎ・・・」と思ったものです。



ベトナムの生活にもだいぶ慣れてきたある日、海外留学経験のあるベトナム人ベトナム戦争について初めて話す機会があり、ご意見を聞かせてもらいました。


その人曰く、

「あの戦争で勝ったのはベトナムってことになってますよね。でも、今のベトナムを見てください。とても貧しい国だと思いませんか?日本は第二次世界大戦アメリカに負けましたよね。でも今では経済的にも物凄く豊かな大国になっています。私は、あのベトナム戦争アメリカが勝っていれば、この国は、少なくとも今よりはもっと豊かになっていると思うんですよ。」

この言葉は本当に僕の胸に突き刺さりました。多分、その当事者が語った言葉だからこそ、余計にズンと来るものがあったのでしょう。


僕は戦争を知らない子供で、生まれたときには既に日本は先進国の仲間入りになり世界経済にも影響を及ぼすぐらいの力を持っていて、生活インフラはほぼ全て完備され、何不自由なく教育を受けられ、日本が大国であることすら全く気づかずに過ごしてきました。


その義務教育の中で、日本人として平和主義を叩き込まれ、戦争=絶対悪だと常々教わってきました。なので戦争を二度と起こさないためにも憲法9条ができ、自衛隊があると言えど専守防衛を貫いているのはその考え方があるからだと認識しています(憲法9条にはまた別の問題が含まれていますが)。僕も勿論、その考え方には疑う余地がないと思ってました。湾岸戦争のときもイラク戦争のときも、当たり前のようにアメリカが指揮を取った戦争を批判的に感じていました。


ただ、この人の意見を聞いたとき、なんだか今までこれだけは覆らないであろうと信じて疑わなかった軸がブレたように感じました。と同時に、自分が如何に無知であるかも思い知らされました。当時のヒッピー達にこの言葉を聞かせたら、彼らは何と思うんだろう?



とは言ってもやはり戦争を正当化することはできないので、また別の形での解決法を探すべきだとは思いますが。


ってなわけで、このときから僕は、民主政治や社会主義、資本経済や共産社会に興味を持ち始めたのでした。




ちなみに、社会主義国であるベトナムでは、いまだ秘密警察みたいなのがその辺にいるらしく、そーいったお話しはご法度なので、国内ではほとんどそーゆー話しはできませんでした。この人と話したときも、周りに誰もいないことを確認してお話ししていました。